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「The Knight Diaries」
第5話-消せない記憶-

19

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雨の降る外を窓から眺めながら、ヒルデはため息を吐いた。
父であるルシアン・ヴァーレンが、領地を離れて聖地遠征に参加する。
自分が生まれてから、父は一度も自分から離れたことは無かった。
なのに、父は遠征に参加すれば、何年も戻って来れないと言う。
ヒルデは何度も父について行くと頼み込んだが、彼は決して受け入れなかった。
ヒルデは父に捨てられた気分だった。

「お嬢様、朝食の準備が出来ていますよ」
ヒルデは開いたままの扉の方へ振り返った。
結んだ金髪の長髪に、どこか優しげな顔つきの若い女が立っている。
若いと言っても、この時ヒルデは12歳だったが、この使用人は二十歳前後の顔立ちだった。
彼女は雨の日に似合わないほどの晴れた笑顔をしている。
ヒルデはぴょんと窓辺から離れると、使用人の顔を見上げた。
「そういえば、あなたの名前は?」
ヒルデは普通に訊いたつもりだったのだが、使用人はひどく驚いた様子を見せた。
「ス、スーザンです」
「どうしたの?」
ヒルデは彼女の動揺する様子を見かねて、訊いてみた。
「最近ここにやってきたみたいだけど、新人さん?」
「ええ。ルシアン様から、あなたの世話係を任されております」
「世話係?」

ヒルデは腹の中で何かが沸き立つのを感じた。
父は、自分が居なくなった後のヒルデを案じていたのだろうが、ヒルデにとってそれは、受け入れがたい現実を直視させられることに他ならなかった。
「そんなの要らない。自分の世話ぐらい出来るよ」
スーザンは微笑んだ。
「では、お友達ではどうですか?」
ヒルデは少しこの使用人の事が気に入った気がした。
普段の使用人たちは、かの有名なヴァーレン卿の娘の扱いには細心の注意を払っている。
だがこのスーザンという女性は、他とは違って、少し近い立場から話してくれるようだ。
ヒルデはその日、ほとんどずっと彼女と過ごしていた。
親子で過ごす最後の一日だと言うのに、父は屋敷に戻らない。
ヒルデも彼を探そうとはしていなかった。
父に怒っていたし、話す気分でもなかった。

「お父様とはお話にならないのですか?」
スーザンはヒルデの要望でリンゴの皮を剥いていた。
ヒルデは相変わらず雨の降る外を見つめたままだ。
「どうせもう会えない。今話したって、何にも変わらないから」
「そんなことないですよ」
スーザンは微笑む。

「お父様はきっと、帰ってきますから」
「なんでそんなことが分かるの?」
ヒルデは半ば怒鳴っていた。
「父さんなんて大嫌い!帰ってくるのは骨だけなのよ!」
スーザンの顔から笑顔が消える。
「大丈夫ですよ…ルシアン様は偉大な騎士で…」
ヒルデは聞く耳持たず、怒鳴り続けた。
大好きだった父がある日突然、戦争へ行くと言い出す。
そしてもう会えないかも知れないと。
12歳の少女にとって、それは到底受け入れられない現実だった。

ヒルデの怒鳴り声は、次第に泣き声へと変わっていく。
「兄さんは戦争に連れて行くのに、なんで私はだめなの?」
スーザンは何も言わない。
ヒルデは慰めの一つも言ってくれない彼女に対してまで、怒りをぶつけたくなっていた。
身勝手な感情が自分を支配していく。


「何も言わないならあんたはクビ!もういいから出てって!」


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