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「The Knight Diaries」
第5話-消せない記憶-

24

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「全員…殺したのか?」
エスネは今聞いた話が頭になかなか入ってこないことに苦労していた。
当時16歳だった少年が、復讐心に支配されて10人の男たちを惨殺した。
騎士道を捨てて…。
エスネは彼の話が事実かどうかさえ疑っていた。
自分に優しくしてくれた彼が、殺しを楽しむような殺人鬼だとはとても信じられなかった。

「私の悩みとは、あの少女を助けられなかったいう後悔のことではない」
アレンはもう一度横になりながら言った。
その声はどこか、エスネの知っているアレンとは少し違っていた。
「私が腑に落ちないのは、あいつらを皆殺しにした時の感覚なんだ。復讐なんてしても気は晴れないだろうと思っていた。
だが私は、復讐に満足してしまった」
横になっているのでアレンの顔は見えないが、エスネは彼が取り乱していることに気付いていた。
アレンが落ち着きの無い声で言う。
「復讐を楽しんでいたんだ。まるで喜劇でも見ているみたいに、私はダール人が死んでいく目を笑いながら見ていた。
それでも私は騎士だと名乗っていいのだろうか?」

エスネは言葉が見つからなかった。
きっと、彼は間違っているのだろう。
騎士としても、もしかすると人間としても…。
だがそれを彼に告げることはできない。
なぜならエスネも、殺しに快感を覚えた経験があったからだ。
もちろんアレンほどのものではないが、戦士なら一度は経験する苦労である。
極限状態の戦場で長く過ごしていると、精神は麻痺する。
やがて死というものに疎くなり、平気で誰でも殺めてしまえるような人間に成り下がってしまう。
しかしそれは、自分の意図したこでもなく、望んだことでもない。
エスネは自分にそう言い聞かせてきた。
エスネは彼の深い感情を理解することは出来ないが、彼の考えを理解することは出来る。
彼はその感情が間違っていると気付いているし、それを変えようと努力もしていることだろう。
彼はあまりに長く、死に関わりすぎたのだ。

「貴公はそれでも騎士だ。普通の人間が背負えない重荷を貴公は背負っている。他に誰がそれを背負えると言うんだ?」
アレンは微かに笑った。
「その言い方だと、まるで英雄だな」
「案外そうかも知れないぞ?」
その言葉を聞いて、アレンは起き上がった。
エスネはそれを横目で見ながら、蜂蜜酒を一口飲む。
「少なくとも、貴公に憧れを抱いている者はいる」
エスネは本音をアレンに悟られないように、慎重に言葉を選ぶ。
「貴公は悪人じゃない。もちろん、“ささいな”問題を抱える人間であることには変わらないがな。
だが、貴公はそれを利用することもできる。貴公が今までに無敵を誇ったのは、その問題を抱えているからじゃないか?」
「どういう意味だ?」
「騎士であることに誇りを持つんだよ」
エスネは言った。
「貴公は激しやすいようだが、その人間らしさを好いている者もいるんだ」
アレンはまるで小突かれた子供のように驚いた顔をした。
だが彼は、すぐに浮かない顔に戻る。

「その人は…すぐに失望することになるだろうな」
「そんなことは無い」
エスネはアレンの肩に手を置くと、きっぱりと否定した。
蜂蜜酒の酔いも回ってきたことだし、この際だ。
騎士、あるいは“エスネ”という名の仮面を外すには、彼はふさわしい。
「真の悪人に、孤独を抱えた女の心を救えると思うか?その役目は悪人よりも、騎士の方が相応しい」
アレンはさっきよりも、さらに驚いた顔をした。
「友達が一人増えたぐらいで?あんたって、思っていた以上の寂しがり屋だったんだな」
彼の間抜けな受け答えに、エスネは自分がいかに愚かだったかを思い知らされた。
アレン・セルデンという名の騎士は、どうやら鈍い感性の持ち主らしい。
「ああ、すまない。こうした方が分かりやすかったかな」
エスネは少し間を置くと、アレンの不意を突いて剣を抜いた。
そして面食らっている彼の胸に、剣先を突き立てる。

「貴公が望むのなら、その迷いと罪に満ちた心臓をえぐり出してくれよう。だがその前に…」
エスネは自分の胸に剣先を向ける。
「蜂蜜酒と得体の知れない感情が渦巻いた友の心臓を…もらってはくれまいか?」

アレンは愕然とした表情で、エスネの強い眼差しと、酔いの回った赤い頬を見つめていた。
「一つ、訊いていいか?」
重々しい口調でアレンは言った。
「私の経験上の偏見かも知れないが…女というものは、酔うと私を口説きたがる生き物なのか?」
「自惚れるな、三流騎士め」
エスネは笑いながら剣を鞘に収めると、蜂蜜酒を持って、アレンに背を向けた。
「こうでもして貴公をからかわないと、死ぬまでその鬱屈(うっくつ)を訊かされそうだからな」
「なるほどね。とはいえ…」
アレンは得意げな口調で、エスネの背に言った。
「君の勇ましくもロマンチックな言葉に、思わず惚れそうになったよ」

エスネはアレンの思わぬ言葉に、驚きを隠せないまま振り返った。
心臓を何かで突かれたような、妙な感触を覚える。

「なんてな」
アレンは微笑んだ。
「こうでもして君をからかわないと、騎士に救われる“孤独を抱えた女”は私になりかねない」
エスネは、アレンの晴れた笑顔にウィンクを返した。



end


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